釜山から対馬へ!大荒れの対馬海峡!?


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長崎県対馬市は大韓民国にもっとも近い日本である。


対馬へ行く方法は海路と空路の2通りがあり、空路は福岡と長崎から、海路は博多港から夜行を含む複数のフェリーが出ている。

空港は対馬やまねこ空港が厳原の北のはずれに位置し、レンタカー屋も多くそのまま周辺の城址等観光地へのアクセスがしやすい。
港は南側の厳原と北側の比田勝があり、博多からのフェリーはほとんどが南の厳原に着く。


そしてもう一つ、大韓民国からの海路も釜山~比田勝・厳原の便がある。

2019年の初め頃までは毎日のように釜山からの船が韓国人観光客を運んできていたが、2020年1月現在、昨今の日韓事情の影響で韓国人観光客は大幅に減少したそうだ。




日本各地から対馬へアクセスする場合はその多くが福岡空港を経由し空路で入る方法がもっとも簡単で早い。しかし出発地から福岡を経由して対馬までの航空運賃はそれなりにかかる。中には福岡までは空路で、博多港から海路で向かう人もいるだろう。時間はかかるが高速船ではなくフェリーを使えば空路よりはだいぶ安くなる。

現在はあまり効力が無くなってきたが、韓国経由というルートもある。こちらは、韓国LCCの格安航空券で釜山へ飛び、そこから韓国の高速船で対馬入りするというルートになるのだが、これがかなり安い。韓国LCCは現在でも往復1万円以下のセールを頻繁に行っており、釜山から対馬への高速船は最安片道2000円程で行くことができる。うまく予定を合わせることが出来れば、日本から韓国経由対馬往復が1万円を切る事もある。

対馬へ行く際は一考の価値ありだ。パスポートが必要になるが、一緒に釜山観光も出来る。

韓国経由というのは意外と使い勝手がよく、東京から福岡へ繁忙期に空路で移動する際も韓国経由の方が安い場合がある。視野を広げることが大切だ。








釜山から対馬へ《未来高速》「ニナ」


週末の釜山港国際ターミナルからは朝だけで3便の対馬行の船が出る。それぞれJR九州高速船「ビートル」、大亜高速海運「オーシャンフラワー」、未来高速「ニナ」である。
このうち現在はビートルのみがジェットフォイル(水中翼船)で運行されており、他は双胴船タイプの高速船だ。前者は時速80km、後者は時速50km程で巡航する。
速度に劣る双胴船だが、定員数はジェットフォイルの3倍から4倍程ある。

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未来高速「ニナ」

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大亜高速海運「オーシャンフラワー」


今回、対馬へ向かう方法として選んだのは未来高速の「ニナ」だ。一番の魅力は運賃で、ジェットフォイルが8000円からする所、ニナはなんと2000円程だ。オーシャンフラワーも双胴船タイプの高速船なのでニナと差が無いように思うが、こちらはやはり8000円程する。

釜山~対馬往復が4000円で行けるという信じがたい運賃設定の正体?をこの後、思い知ることになる…。



当日の天候は曇天で、雨がぱらつき、雲はかなり低く漂っている。出発案内板を見るとほぼ同時刻に出向するオーシャンフラワーは「平常」と表示されているが、我らがニナは「条件付き運行」と掲げられていた。天候等の条件によっては運行を取りやめる可能性があることを示している。同じ高速船なのになぜだろうと思ったが、要するに今日の対馬海峡はかなり時化ているということだそうなので薬局で酔い止めを飲んでおいた。

韓国の出国手続きを済ませ待合室を抜けて桟橋へ。

ニナは430人乗りの2階建て高速船で、船体はカタマラン(双胴船)方式。2つの船体の間にまたがる様にキャビンが据え付けられている。海上に接する部分をなるべく小さくすることで水からの抵抗を抑え速力を出す構造だが、反面、凌波性は低い。

釜山港を出港し釜山大橋をくぐると次第に速度を上げたが、湾内を抜けた途端に大きく揺れ始めた。船内から見た波のおおよその高さは窓から水平線が見えなくなる程度はあったように思う。出港10分程でアトラクションに乗っているかのような状況になった。これがあと1時間半も続くと考えるだけでめまいがする。

「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」で知られる対馬海峡は冬にその正体を現す。日本海海戦が勃発したのは5月だったが、その時期ですら時化るのだ。低気圧に見舞われ易い冬は言わずと知れる。「本日天気曇天尚更波高シ」

航空機で遭遇する揺れはいわゆる縦揺れがほとんどで、垂直に押し上げられたりストンと落ちたりする状態が不規則に訪れるが、いずれ気流の悪い所を抜ければ何事もなかったかのように治まる。しかし船の場合はその日が時化ていれば乗っている間ずっと揺れているので生きた心地がしない。

ただ、船はある程度揺れのタイミングや方向を予測することができるので予め身構えられる所は航空機とは異なる。窓の外を見ていると波が来るタイミングや大きさがわかる。「波」というのはある程度規則性を持って発生するものであるハズなので定期的にやってくる。
船もただ波にされるがままになっているわけではない。巧みに左右へ舵を切っているのがわかる。おそらく波に対して船体をなるべく平行にすることで、船の揺れと船への衝撃を和らげていると思われる。そのまま波に直角に交われば、波を超えた途端に垂直降下して海面に叩き付けられてしまう。
丁度波は船の進行方向に対して左後ろから打ち付けているようで、波が来る前に船体が右へ旋回し、波の頂点を超えると船体を斜めにしながらゆっくりと左へ旋回する。コマが止まる前に円を描くように回ることがあるが、あの状態に近い。うまく波を超えることが出来れば、上下方向に発生する揺れはほぼ最小限となる。それでも前後左右にぐるぐると揺れるのはもはやどうしようもない。
たまにイレギュラーな波に遭遇するとドーンという振動と共に大きな水しぶきが窓に吹きかかり、直後にフワッと船体が浮き上がって波の谷間に落下する。

釜山を出港して1時間が経った頃、キャビンのところどころで液体が流れ出す音が聞こえ始めた。さすがに1時間半も全神経を波に集中し続けるのはきついと判断し、途中から上を向いて目を閉じた。これが酔わない方法としてはかなり有効であり、窓の外の波を見るより断然楽だった。そのまま眠ることが出来れば完全勝利だったが、残念ながら時化ている状態で寝入る事が出来るほど神経は図太くなかった。
ついには前後の席からも流水の動きが見られはじめた。船内総グロッキー、これから楽しい海外旅行のハズがしょっぱなから災難に遭遇してしまった不運な乗客の心情を察する。

次第に船速が落ちてきたので窓の外を見ると島影が迫っていた。上対馬だ。比田勝の湾内は外洋とは打って変わって凪いでおり、先ほどまでの揺れが嘘のように治まった。

地獄の90分を戦い抜いた乗客たちが這う這うの体で下船する。酔い止めを飲んでいなかったら私もあちら側だったかもしれない。そもそも飲んだ酔い止めの成分が何なのかは知らないのでプラシーボ効果だった可能性もある。何はともあれ、何事もなく到着したことに感謝。
乗船時間が短かった為か陸酔いをすることはなかった。





この日に泊まった厳原の旅館の女将さんにこの話をした所、「ニナ」は一番揺れやすいのでツアーのガイドが乗りたくない船No.1だと言っていたそうだ。思わぬところで運賃安さの裏を知ることになった。
しかし比較的天候が安定する時期であれば値段の安さは大きなメリットになり、島民やその親族が移動する際も釜山経由で観光してくる人も多いという話を伺った。




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