「艦隊これくしょん」の魅力とは?
「艦隊これくしょん」
というDMMが配信するブラウザゲームがある。
以下「艦これ」と呼称する。
擬人化された軍艦等が登場し、謎の敵「深海棲艦(しんかいせいかん)」との戦いを描いた物だ。
プレイヤーは「提督」となり、「艦娘(かんむす)」と呼ばれる擬人化艦を指揮して戦っていく。
サービス開始は2013年の4月と、今年で7年目に突入した息の長いブラウザゲームである。
私は2013年の8月頃に始めたので、かれこれ6年近くプレイしていることになる。
大人気な理由は色々とあるが、他のブラウザゲームをあまりプレイしたことがないので、このゲームシステムが一般的にどんなレベルなのかがわからない。
ここでは、「艦隊これくしょん」がいったいどんなシステムのゲームなのかを独断と偏見でご紹介する。
(ゲームの内容そのものの解説ではないのでご注意頂きたい)
「艦これ」のベースとなる母港画面
どんなゲーム?
大まかには「第二次世界大戦や太平洋戦争に登場した艦艇の擬人化キャラを集めるゲーム」という認識で問題ない。
敵として登場する「深海棲艦」についてもその正体が徐々に明らかになって来ており、「艦娘」が轟沈すると「深海棲艦」となり、「深海棲艦」を撃沈すると稀に「艦娘」として現れるという輪廻がある。
これはシステムにも大きく影響しており、プレイヤーの手札である「艦娘」が戦場で「轟沈」するとその「艦娘」は艦隊から除籍され、二度と同じ艦娘は戻らない。
ただし、海域でのドロップや建造等で再び同じ艦娘を入手することは出来るので、新しく育てなおすということになる。
艦隊を組んで「通常海域」に出撃し、ボスを撃破すると次の海域に進撃できる。敵の深海棲艦は最初こそは駆逐艦や巡洋艦等の艦船モチーフが多いが、海域が進むと陸上の資材集積地や飛行場等も登場する。
艦娘側も当初は6隻までの艦隊しか組めないが、最深部では最大12隻もの連合艦隊を組み、陸上基地から爆撃機を出撃させ、支援させる事も出来るようになる。
艦隊編成の様子
戦闘フェイズ
砲撃戦では敵と味方が交互に、ランダムに相手を攻撃する
目的は敵である深海棲艦の殲滅であると言われるが、定かではない。
後は秋刀魚を獲りに行ったり、菱餅を集めたり、お茶漬けを作ったりする。
定期的にイベントがあり、おおよそ3カ月毎に「イベント海域」が期間限定で実装される。
イベント海域を攻略すると新しい装備や艦娘が入手できる。
資源貯蓄が重要
ゲームの進行には鉄やボーキサイト等の資源を必要とすることが多く、出撃や修理、改修、改造等何をするにも資源が使われることから、「兵糧ゲー」と言われることもある。
これらはある程度は時間回復するが、それ以上は「遠征」等で艦隊をおつかいに派遣して取ってきてもらう等の手間と時間を要する。
年間に4回程実施される「イベント」では、艦隊がひっきりなしに出撃する為これらの資源貯蓄がなければすぐに干上がってしまう。「資源が切れて攻略できなかった」という話も良く聞く。
これらは常日頃からコツコツと溜めておかなければならない。
『運』要素が強い
艦船のレベルや装備の改修もさることながら、このゲーム最大の脅威は『運』。
毎度実施されるイベントでは"甲"から"丁"まで4段階の難易度が選択できるが、よほど熟練した艦隊でもない限り、たとえ装備やレベルが十分でも『運』がなければ敵を倒すことが出来ない。
逆に言えば、練度がそこまで高くなくても『運』があれば倒すことも出来る。
勿論『運』以外に装備の改修も重要で、装備については日ごろから「任務」をやっていなければ入手出来ないものもある。
つまり、イベントの時だけプレイしても「有効な装備が不足して戦力が足りない」という事態も起こる。
これらをすべて最善の状態にしたうえで、ようやく最後に『運』だけが残るのだ。
もしかしたらこのあたりが他のブラウザゲームと異なるところなのかもしれない。
ブラウザゲームは一般的にプレイヤーに「課金」をさせて収益を得ているのだが、このゲームに関しては当初運営が「課金」を控えるように宣伝していた。
「課金」をすれば必ず優位に立てるという類のゲームではないということを言っているように見える。
それは、後発組が「課金」で先発組に追い付くというような事が出来ない事を意味し、先発組に追い付くにはひたすらプレイし艦これというゲームを「理解する」ことが重要になるだろう。
このあたりについても後発のプレイヤーからはかなり不評を得ており、昔配布された装備や艦娘を再度入手する機会がほとんどないこと等がそれらに輪をかけてひどくなっていた。
現在では艦娘の入手手段については大方緩和されており、イベントでほとんどの艦娘を入手できるようになった。
ゲーム自体は全年齢対象なのだが、配信元のDMMが18歳以上の規制のあるプラットホームで実装しているということもあり、実際にプレイ出来るのは18歳以上となっている。
これは他のブラウザゲームにはない少々特異な、一部理不尽とも捉えられそうなシステムを理解し、楽しんでもらう為の年齢制限のようにも見える。
『運』のもつ魅力
先ほど、『運』が大変重要と申し上げた。具体例を挙げてみよう。
とあるイベントにおいて、同じボスを撃破しイベント海域を突破した2つの艦隊(プレイヤー)を比較する。
A提督のA艦隊は練度が非常に高く装備も充実していたが、ボスを撃破し海域を突破するのに30回の出撃を要した。
B提督のB艦隊は練度はA艦隊程ではなく装備もA艦隊に劣っていたが、10回の出撃でボスを撃破し海域を突破した。
もちろん練度が高いA艦隊を所有する提督の方がプレイ時間が長い事は一目瞭然だ。
一見理不尽のように見えるが、これが「艦隊これくしょん」が誇る『運』の仕様であり、魅力でもある。
当然練度が高い方が突破する確率は上がるのだが、それに勝るとも劣らない『運』の要素が重要となっているのだ。
後は自分の艦隊の練度や装備をしっかりと把握した上で"難易度"を選択すればいい。
このおかげで毎回のイベントではさまざまなドラマが生まれている。
提督の趣味嗜好によって攻略に不都合な艦娘やあえて低火力な艦娘を艦隊に編成し、いわゆる「縛りプレイ」を実施する提督も多数おり、毎度奇跡とも言うべき突破劇を繰り広げてきた。
そしてそれらはいまだに攻略出来ず足踏みしている他の提督たちに勇気を与えてきた。
運要素が強いからこそ、「最強の艦隊」が存在しない。提督おのおのが自由に艦隊を組んで作戦に挑むことができる自由度こそがこのゲームの売りであるように思う。
試行錯誤すれば必ず突破できる兆しが見えるようになっている。突破できるかは『運』が大きく左右するが…。
難易度と報酬
難易度によってクリア後にもらえる報酬が異なっている。最難関の難易度を突破すると性能が高い装備を入手可能だ。
だが、これらはあくまですこしだけ有利になる程度のものであり、持っていなければ次のイベントを突破できないということはありえない。
もし本当にそんなことであれば後発組の提督達は一生最難関作戦に挑戦できないことになってしまう。
後発組でどうしてもその装備が欲しいが艦隊戦力が不十分な場合は素直に諦めて自艦隊に見合った難易度で攻略すればよい。
なにも必死になって最難関難易度に挑む必要はないハズだ。
十分な練度に艦隊が育ったら、次のイベントで最難関難易度に挑戦すればよい。
6年近くプレイしている私でも様々な都合で最難関難易度を諦める事がある。
自分のプレイスタイルや練度に合わせてプレイすることが提督には求められる。
運営の伝聞でも無理に高難易度に挑戦しないよう呼びかけており、このような呼びかけも他のブラウザゲームにはないのではないだろうか?
プレイ時間の拘束
サービスが始まった直後は艦これ運営も手探りで迷走していた。艦これの「期間限定イベント」におけるシステムでは、海域最奥の艦隊旗艦(ボス)を撃破することで海域のゲージが削れてゆき、ゲージを削りきった状態で旗艦を撃破すると海域突破となる。
そのためには海域に反復出撃してボスを何度か攻撃する必要があるのだが、当初はこのゲージにおいて「時間回復」なるものが存在し、ある程度ゲージを削っていてもしばらく放置していると時間によって回復するという仕様があった。
つまり海域突破の為には一気に攻略してしまう必要があるわけで、それだけまとまったプレイ時間がプレイヤーに要求された。
18歳以上しかプレイできない事もあり、艦これのプレイヤーには社会人も多い。
この「時間回復」によってまとまった時間の取り難い社会人がプレイしにくい状態となった。
かくいう私も初めてのイベントにおいてこのゲージ回復に振り回され、1つの海域で実に27時間もの連続プレイをすることになってしまった…。
同イベントでは同様に長時間耐久プレイによってプレイヤーが倒れ、救急車が出動する事態もあったらしい。
勿論現在は運営もある程度要領を得てきてはいるが、それでもプレイヤーからの批判や苦情が絶えない。
ある程度は運営のやり方についていける人、許容できる人だけが楽しむ状態となっているが、100%のプレイヤーを満足させることなど到底出来ないのだから、プレイヤー側にも理解が求められる。仕方ないが、いやならやらなければいいということになってしまう。
様々なリアルイベント
ゲームに置いて課金自粛を促すような運営だが、リアルイベントには手を抜かない事でも有名になってきた。ブラウザゲームで航空会社や大手百貨店とのコラボレーションに成功したのは数少ない例ではないだろうか。
様々なテーマパークでコラボイベントを実施し、オーケストラやジャズ、アイススケート、サーカス等他ジャンルとも積極的にコラボをしていく姿勢は素直に驚く。
極め付けは瑞雲と呼ばれる水上飛行機(偵察/爆撃機)の1/1模型を製作し展示、さらに2019年には戦闘機(烈風改)まで1/1模型を製作してしまった。もはやどこに向かっているのかよくわからない。
イベントが行われる場所は太平洋戦争当時に「鎮守府」が置かれていた場所周辺であることが多く、日本各地に散らばっている。
イベントのたびに「提督」たちが地方に集まり、地域経済に貢献していることも大きい。
アニメや映画も作られたが、今後の展開も気になるところだ。7年目に突入した人気ブラウザゲームがどのような発展を遂げるのか、大変興味がある。
今後もまったりと「艦これ」の世界を楽しんでいきたい。